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2021.02.04 MeetUp

【Expert Pitch #6】JR西日本のMaaS取組事例のご紹介

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) デジタルソリューション本部 MaaS企画室長
神田 隆 氏

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MaaSの最前線で活躍するエキスパートをゲストに迎え、事業開発のヒントとなるインサイトをお伝えする「Expert Pitch」。第6回となる今回は、コンソーシアム企業の皆さまからのご要望にお応えし、MaaS でも重要な役割を担う鉄道業界から、西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)デジタルソリューション本部MaaS企画室長の神田 隆氏に登壇いただき、MaaSの具体的な取り組み事例についていろいろお話を伺いました。

JR西日本のMaaS取組事例のご紹介

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) デジタルソリューション本部 MaaS企画室長
神田 隆 氏

2府16県の事業エリアそれぞれの交通課題にMaaSで取り組む

JR西日本の鉄道が走っているエリアは、北は新潟県から西は福岡県まで2府16県と広く、京阪神のような大都市から中山間地域まで、それぞれが持つ交通に関する課題解決に協力するMaaS事業に取り組んでいます。

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最初に手掛けたのは観光型MaaS「Setowa(せとわ)」で、2019年10月から翌年3月にかけて広島県東部の尾道、三原、福山、竹原の4つの市で実証実験を行いました。2020年10月よりJRグループで実施した「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」にあわせ、Webとアプリの両方を開発して同年9月よりサービスを行っています。

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主な機能は、登録した瀬戸内エリアの話題スポットをつないで経路検索したり、交通手段や宿泊などのサービス連携や旅行の準備も含め、アプリで一元的にできるようにしています。また、周遊パスや観光チケットをデジタル購入できます。

特徴としては、瀬戸内ならではの海沿いの景色を楽しんでもらえるよう、レンタサイクル事業者との連携もしており、広島電鉄の路面電車などに乗車できるデジタルチケットサービス「MOBIRY」といった新しい連携の枠組みも拡大しています。

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周遊パスは、広島県全体だけでなく隣接する岡山県や愛媛県まで足を伸ばしたいというお客さまのニーズに対応し、観光チケットも50種類以上から現在は80種類以上に増えています。ナビゲーションは徒歩や自転車など移動手段にあわせて地図が表示され、現在地の天気予報も一目でわかるなど、観光型MaaSに必要な機能はほぼ搭載しています。

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観光型、地域型、都市型の3つを展開

続いて地方型MaaSの取り組みでは、2018年に廃止された三江線(さんこうせん)沿線地域の一つであった島根県邑南町(おおなんちょう)の皆様と一緒に、地方型MaaSの検討を一昨年から始めました。

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昨年4月からは、現在のダイヤ運行からデマンド型に切り替える配車システムの実証実験を実施。国交省の自家用有償旅客運送制度を活用した、登録地域ドライバーによる送迎サービスを提供しています。そこで利用するシステムは、JR西日本が出資し、タクシー向け配車システムを開発する電脳交通と連携して構築しています。

都市型の取り組みでは、2019年10月末に関西MaaS検討会の設立を発表し、大阪メトロ、南海など関西大手鉄道会社7社と共同でMaaSの勉強を始めています。地域内に複数の事業者が存在するエリアにおいて、より便利なサービスを整えるため、事業者間でシームレスに連携する方法を検討し、その他の鉄道やバス会社とも広く連携して、関西全体を移動しやすい地域にすることを目指しています。

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社内外から注目されるデジタル化の推進

社内でのMaaSの取り組みでは、鉄道を中心とした地域共生企業としての役割を推進するにあたり、昨年11月に「グループデジタル戦略」策定。また、長谷川一明社長が本部長を務め、神田氏が所属する「デジタルソリューション本部」が設置されました。MaaSをはじめ、お客様との関係、社内や鉄道事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)、働き方改革という、大きく3分野のデジタル化の実現を進めています。

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DXに向けた動きは社内外からも注目されており、デジタル戦略の一つとして、顧客体験を再構築するデジタル化のイメージ図とあわせて紹介されました。

具体的には、これまでお客様とのつながりの拠点だった駅の代わりになるツールとして、統合型MaaSアプリ「WESTER(ウェスター)」を昨年9月にリリース。鉄道や駅ナカ施設の利用を基本としつつ、観光型のSetowaとあわせて様々なエリアで展開するMaaSにアプローチする窓口としても活用し、地域とつながることを目指します。

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社外との連携では、昨年9月、JR東日本とリアルタイム検索の導入で協力・連携を発表。また、三井住友海上とは社有車の適正化でMaaS活用する実証実験を実施します。少し変わった例では、サッカーの試合と連携し、登録いただいた来場者にグッズが当たる抽選結果をWESTERでプッシュ通知したりと、いろいろな取り組みをしています。

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「WESTERはいろんな方向性を考えていきたいですし、皆さんにも使ってほしいので、ぜひ連携のアイデアをお聞かせいただきますよう今後もご協力をよろしくお願いいたします。」(神田氏)

発表を終了後には、SetowaとWESTERのアプリ機能に関してたくさんの質問が寄せられました。中には開発に関するデリケートな質問もありましたが、神田氏からはギリギリ答えられる範囲で回答いただき、参加者の皆さんからの満足度も高い内容となりました。

今回のExpert Pitch、いかがでしたでしょうか? 参加者の当日アンケートでも40%以上が日頃から利用していると回答があったJR西日本さまのMaaSの取り組み事例は、今後の事業化に向けた刺激になったと思います。

今後もMONET Expert Pitchでは、様々な業界からエキスパートをお招きしてお話いただく予定ですので、どうかご期待ください。