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コンソーシアム加盟企業と共同で MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験 in 竹芝 を実施

東急不動産株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京ガス株式会社 インタビュー

「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」を実施した東急不動産株式会社と東日本旅客鉄道株式会社、そして実証実験にユーザーとして参加した東京ガス株式会社にインタビューを行いました。

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MONETは、東京都から受託した「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」を、 2019年12月から2020年1月にかけて東京・竹芝エリアで実施しました。この実証実験を振り返るとともに今後の計画を練るべく、この実証実験をMONETと共同で実施した東急不動産株式会社と東日本旅客鉄道株式会社、そして実証実験にユーザーとして参加した東京ガス株式会社にインタビューを行いました。

70年先を見据えた、都市再生ステップアッププロジェクト――東急不動産

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東急不動産株式会社 都市事業本部 ビル運営事業部 営業運営グループ 主任 野口 有瑛氏

――まず、竹芝エリアの再開発について。

「東京ポートシティ竹芝」は、JR浜松町駅とゆりかもめ竹芝駅の間の都有地を東京都から70年間借り受けて、東急不動産と鹿島建設が開発する事業です。オフィス、商業施設、ホールや産業貿易センターからなる40階建てのオフィスタワーと、サービスアパートメントやシェアハウスなどのレジデンスタワーで構成される、総延床面積約20万㎡の大型再開発事業です。合わせてJR浜松町から竹芝ふ頭までを歩行者デッキでつなぎ、安全性や快適性を向上させる取組も行います。

――今回の実証実験の狙いについて。

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(左)東急不動産株式会社 野口 有瑛氏、
(右)インタビュワーを務めるMONET Technologies株式会社 CEO室 田代 理沙子

この息の長い事業において、エリアマネジメントは不可欠です。そこで当社は一般社団法人竹芝エリアマネジメントを立ち上げ、竹芝エリアの価値向上に努めています。「最先端の技術とコンテンツの産業集積地として70年間進化し続ける街」というビジョンも掲げています。
このように本プロジェクトが官民連携事業であること、またエリアマネジメントを行う団体が存在していることなど、様々な基盤が揃っています。また、竹芝エリアの東側が海という都内では稀有な立地でもあります。これらの基盤や資源を生かして、東京ガスさん、東日本旅客鉄道さんなどのプレーヤーと連携しながら様々な実証実験を行っていくことが、竹芝エリアでの私たちの使命と考えており、今回のMaaSの実証実験もその一つと位置付けています。

――実施した3つの実証実験とは。“勤務者向けオンデマンド”、“通勤者向けマルチモーダル”、“観光客向けマルチモーダル”

1つめは、竹芝エリアに勤務する従業員向けのオンデマンドモビリティです。アプリから配車の予約ができ、竹芝エリアとその周辺の駅やオフィスなどを巡回するオンデマンドモビリティを運行することで、従業員の移動の効率化を図りました。

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2つめは、通勤者向けのマルチモーダルサービスです。勝どき桟橋から竹芝桟橋へ船舶を運航し、舟運を新たな通勤手段として検証する他、竹芝桟橋からJR浜松町駅へ移動するためのシャトル便を運行することで、船舶とバスおよび鉄道を連携させた、マルチモーダルの有効性を検証しました。
3つめは、観光客向けマルチモーダルサービスです。観光客が多い大島から竹芝客船ターミナルに到着する定期運航船のダイヤに合わせて、竹芝客船ターミナルからJR浜松町駅へ移動するためのオンデマンドモビリティを運行し、観光側面からもマルチモーダルの有効性を検証しました。竹芝エリアの魅力を高めるには浜松町駅と竹芝ふ頭を結ぶ交通手段(ラストワンマイル)の向上が必要と考えています。今回の実証実験は実際にラストワンマイルとしてモビリティを運行させることで、利用者のニーズ等を確認するいい機会になったと認識しています。
また、オンデマンドモビリティとシャトル便については、利用者確認のためSuica等交通系ICカードの認証機能を試験的に活用するとともに、車内モニターにて近辺の鉄道運行のリアルタイム情報を提供しました。

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“CITY UP!” をスローガンに、竹芝をVALUE UP!――JR東日本

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(左)東日本旅客鉄道株式会社 技術イノベーション推進本部 MaaS事業推進部門 MaaS戦略グループ 中西 良太氏、 
(右)東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 品川まちづくり部門 都市計画・エリアマネジメントグループ 片桐 暁史氏

――竹芝におけるJR東日本の取り組みは。

東京全体の傾向として、これまでの代表的な都市機能を担ってきた山手線の内側だけでなく、外側の湾岸地域のまちづくりが活性化してきています。その1つの代表エリアが竹芝や品川エリア。東急不動産さまからも話があったように、竹芝・浜松町エリアでは多くの再開発が同時進行中で、JR東日本でも2020年4月に、劇場・商業・ラグジュアリーホテル・オフィス等からなる複合施設「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」を開業予定です。開業する立地は駅から徒歩6分。歩くとちょっとあるけどタクシーに乗るほどでもない。こういった場所へも気軽にアクセスできる二次交通とのシームレスな連携が重要になってくると考えています。
JR東日本グループでは“CITY UP!” をスローガンに、「くらしづくり(まちづくり)」の実現を目指して駅の個性を磨き、街の魅力向上に努めるとともに、事業の変革と創造に取り組んでいますが、竹芝エリアでは30年後、50年後も持続的に人の回遊やにぎわいが創出されるまちづくりを念頭にモビリティサービスも考えていくつもりです。当然、既存のJR路線によるサービスだけでは実現が難しく、シャトルバスや舟運など他のモビリティと連携して地域全体の交通サービスの向上を探りたいとの考えから、この実証に参加いたしました。

――今回の実証で学んだ点は。

浜松町駅は、山手線で最も東京湾に近い駅であり、舟運との連携により、より便利で快適な交通サービスが提供できる可能性があると思います。一方で、それが進んでいない理由は、既存の多くの船着場の立地環境が街のにぎわいの中心地から離れていることや、行政管理の船着場の民間への開放状況や利用上の制約などが関係していると感じました。今回は東京都から許可をいただき、舟運とシャトルバス、JR路線をつなぐ実証をしましたが、船着場を利用する際にも、利用できる時間帯や船舶の仕様などが影響しました。様々な実証や提言などを行いながら、より使いやすい船着場が増えていくことが舟運の活性化や他のモビリティとの連携に繋がっていくと考えています。
 

4月に開業する「WATERS takeshiba」では民間事業者主体で新たに船着場を整備し、民間事業者で運営する形を取る予定です。この船着場は様々な舟運事業者へのヒアリングなども通し、船着場の左側と右側で水面からの高さを変えることで、大小様々な船舶が利用できるような設計をしています。6月からは竹芝と浅草・豊洲・台場等を結ぶ定期航路船の就航も予定しています。民間事業者主体による柔軟な運用や提言などを通し、舟運の活性化や複数のモビリティとの連携によるエリアの利便性向上や、他のエリアへの展開へとつなげていければと考えています。

実証実験に参加してみての感想――東京ガス

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(右)東京ガス株式会社都市エネルギー事業部 法人営業第一部 担当部長 高橋 潤年氏、
(左)東京ガス株式会社都市エネルギー事業部 法人営業第一部 主任 佐々木香枝氏

――竹芝エリアの通勤課題は。

浜松町の駅はホームが狭いと感じています。朝の通勤時間帯はエスカレーターが上り専用になり、モノレールとの乗り換え口にもなるので、人が滞留してしまうスポットができてしまいます。また、夕方の帰宅時間帯はホームに降りられないほど混雑することもあり、電車が定時運行していても移動時間にタイムラグが発生してしまいます。大門から歩いては浜松町へ向かう人も多いので、改札を出たところも混雑しやすい場所です。浜松町は、通勤時間帯とそうではない日中時間帯の差が非常に厳しいエリアだと感じています。こいったことを考えると、ピーク時間帯に新しい交通サービスを導入して人流の一極集中を効果的に分散させる取り組みは良かったと思います。

――舟運への期待は。

浜松町駅は山の手戦で一番水辺に近い駅と言われていますが、浜松町駅から竹芝エリアにある東京ガス本社に向かう時には、全く水を感じない通勤生活を過ごしています。大きなビルが立ち並ぶのはしょうがないとして、朝の澄んだ空気の中で開放感を感じながら舟運で通勤できる選択肢も持てると気持ちもリフレッシュできて良いと思いました。